このページでは、最近のトレンドである海外生産アパレル品の物流代行について解説しています。
現在、国内メーカーの服飾品の生産拠点は、海外(特に中国)に設置されている例が圧倒的に多くなっています。これは、デフレによるアパレル品の価格低下要求に対し、国内生産のコストが見合わなくなってきた結果です。
既に90年代中頃より、中国を中心とする海外への工場移転は加速的に増加しており、こうした流れの中で蓄積されたノウハウにより、海外生産品のレベル自体も年々向上しています。
しかし、その一方で近年の中国内の人件費高騰は看過できない水準に達しており、コスト圧縮は限界に近づいているのも事実です。加えて、中国資本によるアパレル関連企業の伸長も目覚しく、新たな脅威となりつつあります。
そこで、最近にわかに注目を集めているのが、海外工場と国内市場を結ぶ流通路の見直し。海上輸送も含めた、アパレル品の物流工程自体をアウトソーシングするというトレンドです。
T社は、国内だけで10以上の拠点を持つ総合物流会社。
アパレル関連については、近年進出したばかりの会社ですが、物流アウトソーシング自体は40年以上の実績を有しています。
T社が海外アパレルの委託を受けたのは、国内最大手の紳士服メーカーであるM社。日本国内だけで、45店舗の直営店を展開し、その他60社におよぶ卸先を擁しています。
そのM社が抱えていた課題は、主に以下の4点。
これに対し、T社が提案した施策は以下の3点。
これを実行に移すべく、T社では中国沿岸の大連に物流拠点を設置。中国内にあるM社の工場から生産品を直送させ、入庫から通関までの全業務を集約したそうです。
同拠点では、以下の全工程をワンストップで実施。
その後、日本国内のコンテナヤードから、コンテナ積みのまま国内物流拠点へダイレクト輸送。
上記の工程を一括で実施し、そのまま小売店へ納品できる体制を構築したそうです。こうした、グローバルSCMの導入により、M社の悲願であった輸送コストの1割削減を実現し、同時に要所要所に差し挟んだオンライン在庫管理システムにより、在庫状況の「見える化」をリアルタイムで実現したそうです。
現在では、こうした物流効率化のコンサルティングとも言える提案をしてくれる業者も増えてきておりますので、近々の支出増加に耐えてでもアウアトソーシング化する価値はあるかと思います。